取水堰のオガサワラヌマエビ ーその1ー 

小笠原は31年振りの大渇水です。
今日のダムの貯水率は40%ちょっと。
このままでは8月末から9月上旬に、ダムの水が無くなる恐れがあるそうです。
パッションフルーツの皮がしおれて出荷できないなど、すでに農業被害も出ています。


父島の沢の上流に、農業用水の小さな取水堰があります。
今月に入って、この取水堰に堆積した土砂を取り除く作業が行われました。
ところがこの取水堰周辺には、オガサワラヌマエビという固有の川エビが生息しています。

成長しても2cm程度にしかならない、小さ〜いオガサワラヌマエビ。
しかし、世界の海洋島の川エビの中で、唯一の河川陸封型という珍しいエビなのです。
(子供が海に降らず、川の中だけで一生を過ごすタイプ)
珍しい生物につきものですが、絶滅危惧種でもあります。
取水堰の土砂を排除するには、一度水を抜かなければなりません。
そのまま水を抜けば、たくさんのエビが死んでしまいます。
同時に、種内の遺伝的多様性が減少し、生き残ったオガサワラヌマエビの絶滅確率が上がります。

(つづく)